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フォルクスワーゲン パサート W8 4モーション【プレイバック試乗】 / navi

(2010/05/24)

おとなしい顔に隠されたハイパフォーマンス
その加速はライバルたちを凌駕する

  • フォルクスワーゲン パサート W8 4モーション 走り|ニューモデル試乗
  • フォルクスワーゲン パサート W8 4モーション リアスタイル|ニューモデル試乗
コンセプト
シリンダーをW型に組み合わせた独自の設計
パサートに4L W8型エンジンを搭載したモデルが加わった。2003年予定の最上級大型サルーン“フェートン”が導入されるまでは、このパサートW8がVWのフラッグシップモデルを務めることになる。

車全体の印象へと話題を進めていく前に、まずはW8という聞き慣れないエンジン形式について簡単に触れておこう。

シリンダーが一直線になっているのが直列、Vの字状に左右に分かれているのがV型と呼ばれるのはご存知の通り。ならばW8はどうなのか?やや理解しづらいかもしれないが説明しよう。まずボーラやパサートに搭載されているV5エンジンから1気筒を取る。エンジン構造上はV4となるのだが、これを並列に組み合わせることでV+V=Wの形、つまりW8気筒エンジンが完成するのだ。ちなみに、フェートンのW12もブガッティのW16も同じ理屈で設計されている。もとをたどればゴルフIIIの時代にVWが開発したバンク角15度という超狭角V6エンジンがベースである。

価格はセダンが529万円、ワゴンが541万円。内容の割に安いのか、それともパサートのクセに高いのか。それは考え方次第だが、実際に乗ってみれば「メチャ安だ!」と思うに違いない。
室内&荷室空間
パッと見た感じ最上級モデルに見えないところが、実は戦略
他のパサートとW8の外観上の識別ポイントは少ない。目立つ違いといえばタイヤ&ホイールのサイズ(W8はBBS製の17インチアルミを履いている)と2本出しテールパイプぐらいのもの。顔つきを見ただけでは、普通のエンジンを積んだ普通のパサートと見分けるのは至難の業だ。

実はこいつがクセ者である。ルームミラーに映った顔を見て「なんだ、パサートか」などと甘く見たら痛い目に遭うのは必至。何しろ相手は275psを絞り出す4L W8を積んでいるのだ。M・ベンツEクラスだったら430以上、BMW5シリーズだったら540以上でなければW8とまともに張り合うのは不可能だ。実際、W8が出現してからというもの、アウトバーンではパサートがメルセデスやBMWにパッシングを浴びせかけるシーンが日々繰り返されている。これはちょっとした革命である。

先頃のビッグマイナーチェンジでちょっとエグい顔つきになったのは、ひょっとするとそんな動きを計算に入れたVWのイメージ戦略なのかもしれない。まずはパサートW8によってアウトバーンにおける“VW顔”の存在感を高めておき、続いてこれまた滅法速いと言われるフェートン(顔つきはパサートに似ている)をリリースすることによって、VWブランドを一気にメルセデス、BMWとタメを張るレベルまで引き上げようとしている…そんなふうに思えてならないのだ。

もっとも、さすがのVWも価格で張り合おうとはしていない。E430の価格は790万円、540の価格は806万円。フルタイム4WDであることや、高性能なDVDナビが標準で付くことなどを考えると、同等の動力性能を備えるメルセデスやBMWよりパサートW8は確実に300万円は安いのである。
  • フォルクスワーゲン パサート W8 4モーション インパネ|ニューモデル試乗
  • フォルクスワーゲン パサート W8 4モーション エンジン|ニューモデル試乗
ドライブフィール
高回転まで回しても気持ちのいいサウンドは格別
そこで気になってくるのがW8エンジンのフィーリングだ。端的に言って、このエンジンは実に気持ちがいい。4000rpm付近までは高級車にふさわしい静粛性を発揮し、さらに回転を上げていくとフォォーンという乾いたサウンドでコックピットを満たしてくれるのだ。トヨタセルシオのV8を参考にしたとのことだが、セルシオはトップエンドまで回してもこれほど気持ちのいいサウンドを聞かせてはくれない。W8は、動力性能だけでなく、フィーリング面でもメルセデスやBMWのV8に並んだと報告できる。

フットワークも上々だ。フルタイム4WDは雨や強風下の高速道路でも頼もしい直進安定性を生み出し、ワインディングロードでは4輪をしっかりと路面に押しつけながら狙ったラインをきれいにトレースしていく。セダンはどちらかというとスポーティな味つけで、若干硬めの乗り心地と引き換えに軽快な動きを実現。一方のワゴンは重厚かつしなやかな乗り心地と素直なハンドリングをもっている…というようにボディタイプによってフットワークの印象は若干異なるが、どちらもそれなりに魅力的だ。

パサートのクセに高い!と文句を言う前に、まずは乗ってみてほしい。その走りは期待を裏切らない。W8とはそんな車なのだ。
ライバル車を考える
社会的認知度はまるで異次元だがバランスではこの車
常識的に言えばBMW3シリーズかM・ベンツCクラスの上級モデル、もしくは5シリーズかEクラスの下級モデルということになるが、ここではあえてセルシオという名前を挙げておこう。社会的な認知度はまるで異次元だが、価格とハードウェアのバランス度にスポットを当てた場合、最も近い車だ。
SPECIFICATIONS
グレード セダンW8 4MOTION
ワゴンW8 4MOTION
駆動方式 フルタイム4WD
トランスミッション 5AT
全長×全幅×全高(mm) セダン:4700×1745×1460
ワゴン:4680×1745×1495
ホイールベース(mm) 2700
車両重量(kg) セダン:1750
ワゴン:1800
乗車定員 5人
エンジン種類 W型8気筒SOHC
総排気量(cc) 3998
最高出力 202kW(275ps)/6000rpm
最大トルク 370N・m(37.7kg-m)/2750rpm
車両本体価格 セダン:529万円
ワゴン:541万円
写真:芳賀元昌、萩原文博 文:岡崎五朗
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