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ジャガーXFは新世代Eセグメントの幕開け 【試乗by西川淳】 / navi

(2008/06/16)

Report / 西川 淳

当代一流のドライバーズカーと断言しておく

結論から言うと『ブリテッシュブランドは凄い!』である。

こんなことを言うと、クルマ事情をよく知る人ほど、首をかしげるかも知れない。いわく、「何言うてんのん、どいつもこいつも身売りされたとこばっかしやん」。いわく、「イギリスにはもう1つも民族資本ないねんで」。またいわく、「イギリス車ってマトモなイメージないもんな」。などなど。

だから、見るべきものはないんじゃないか…。大間違いである。

確かにイギリスのブランドは今やほぼすべて外国資本によって支えてられている。VW(ベントレー)、BMW(ロールスロイス、ミニ)、フォード(ジャガー、ランドローバー、インド・TATAに売却か?)、プロトン(ロータス)。フォード傘下にあったアストンマーティンはプロドライブの英国人デビッド・リチャーズに売却されたが、それにしたって中東の金融&オイルマネーがメインだ。

要するにすべてよそに買われてしまった。そして、そのまま裏返せば、欲しいと手を挙げたところがあった。そこが、ミソだ。

結果、今、名だたるブランドたちの商品はどうなっているのか。よく見てほしい。アイデンティティを失ってしまったブランドはあるか? 不出来なクルマを作っているブランドはあるか?

ない。ぜんぜん、ない。

それって、実に素晴らしいことじゃないか! 本物の文化性を有していれば、たとえ資本が外国からやってこようと崩れることがない。主張があって、尊敬も受ける。だから逆にグローバルにも立派に通用する。ただし、商品として成功するかどうかは、時代の流れや親会社の戦略などによって左右される。今のところ、ジャガーとランドローバーは苦しいけれども、次の親玉はどうやら相当に太っ腹(金は出すが口は出さない、たぶん出せない)のようだ。大いに期待できよう。

さて、本題のXFについて。

断言してもいいが、今、このクラス(欧州Eセグメントに属する)最高のスポーツサルーンじゃないか。何かが突出しているのではなく、すべての性能が高いレベルでバランスしている。だから、運転していて常に気分がいい。ゆっくり街中を流していても、高速道路をクルージングしていても、ワインディングをかっ飛ばしてみても、クルマは常にドライバーに忠実でよく手に馴染む。驚くほど、心地いいライドフィール。

V8の自然吸気(19インチタイヤ)とスーパーチャージャー(20インチタイヤ)に乗ったが、個体差はあるものの、おおむね同じ乗り味で、自然吸気でも物足りないということがない。十分だ。サウンド的には自然吸気のほうが勝るほど。絶対加速を求める方だけが、スーパーチャージャーを狙えばよろしい。

足回りはスポーツクーペのXKとほぼ同じ。ボディ構造はアルミではなくスチールがメインだが、それが逆に効いている。アルミボディ特有の“輪郭"がやけにくっきりした走りではなく、ある程度そこをゆるくぼかしてクルマ全体でしなりをつくり、人間の感覚に自然な雰囲気で力をみなぎらせている。そこが、いい。こういうことができるジャガーは、やっぱり凄いと思う。きっと、社内の“どこかで誰かが"ジャガーらしさを常にブラッシュアップしモダナイズしバージョンアップしながら厳しく今に伝えているからだと思う。そう、たとえ“親玉"が変わろうとも…。


とにかく、XFはドライバーズカーとして当代一流である。デザイン的に好みは分かれるだろうが(特に顔つき)、車なんてものはそれぐらいでちょうどいい。万人受けする必要などない。XKクーペと同じシルエットを描くキャビンデザインの美しさに惚れて、中身が最高であるということを誇りに思いながら乗ってほしい。そういう車だ。

とにかく、車好きならば、XFシリーズの実力を知っておいて損はない。否、車好きを標榜するならば、Eクラスや5シリーズを褒める前にXFシリーズの実力を知っておかねばならないと思う。好き嫌い欲しい欲しくない買う買わないは別にして、そこには今、最高のライドフィールがあるのだから!

今回登場したクルマ、メーカーたち

ジャガーXF

Sタイプの後継車は、中型高級セダンでリードするかも

ライバルのクルマたち

M・ベンツEクラス

現行モデルでもだいぶ安くなってリーズナブル

BMW5シリーズ

スポーティサルーンのベンチマークは健在

アウディA6

エグゼクティブが好む控えめなルックスの実力車

VWパサート

高品質な割にリーズナブルになる中古車

プジョー407

シトロエンC5の兄弟車はネコ足で勝負

フォトコレクション

写真:フロントマスクは賛否両論か?|試乗by西川淳」
フロントマスクは賛否両論か?

丸目のアクセントがなければ、個性がアピールしにくかったのかもしれない。ボンネットの盛り上がりが、力強さを静かに演出している。“焼き肉網"風のグリルは健在

写真:ヘンに近未来していないが未来的|試乗by西川淳」
ヘンに近未来していないが未来的

リアは無理に近未来的なデザインにはなっていない。それでも新しさと洗練性を予感させる仕上がりになっているのは実に不思議。今までのジャガーイメージとは離れようとしている?

写真:試乗ルートで立ち寄るホテル|試乗by西川淳」
試乗ルートで立ち寄るホテル

海外試乗はロケーションの素晴らしさ、日本試乗会に先駆けて、といろいろ理由はあるでしょう。我々ライター陣は、道中立ち寄るところで意見交換をしたりうまいご飯を堪能します

写真:英国っぽさこそないが未来的|試乗by西川淳」
英国っぽさこそないが未来的

今までのジャガーからは考えられないほどすっきり未来的なデザインになったインテリア。シフトノブがなく、センターコンソール上のダイヤルを使うのがミソ

写真:キッチリカッチリした走りの秘密|試乗by西川淳」
キッチリカッチリした走りの秘密

トランク内のカーペットを上げてみると、スペアタイヤが収まっている。そのちょっと上にはキッチリした走りを実現させるための、タワーバーが写っている。わざと見せるのも演出?


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