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【試乗】新型 ルノー トゥインゴ|小さくとも満足感のいく乗り心地と走り / navi
(2019/11/08)

▲2019年8月に「ルノー トゥインゴ(3代目)」がマイナーチェンジ。今回は自動車テクノロジーライターの松本英雄氏が試乗した際の模様をレポートする
ルノー トゥインゴの歴史
1992年にフランスはルノーから登場した初代トゥインゴは、かわいらしいFF(フロントエンジン・フロントドライブ)で優れたパッケージングが魅力的なモデルであった。
後席のシートアレンジやシートの風合いやデザインまでも、フランスらしい柔らかな温もりの空間をもたらす車であったことを今でも思い出す。
その後、初代が登場して15年後の2007年に2代目が登場し、日本に初めて正規輸入となった。
2代目トゥインゴはコンパクトなパッケージングに改良されたものの、初代よりもずんぐりとした外観となったりサスペンションも固めになったりしていまい、感銘を受けることは多くなかった。
そんな2代目から大きく変貌を遂げた、3代目トゥインゴが2016年に登場した。
FFであった駆動方式がRR(リアエンジン・リアドライブ)となったのだ。
「ルノー トゥインゴ」はRRレイアウトに変えたことで、「スマート フォーフォー」とプラットフォームを共有化し、価格を抑えながらも質の高いエンジンを供給できるようにしたのである。
またルノーのRRといえば、1950~60年代のモータリゼーションに華を咲かせた歴史もあり、伝統のレイアウトでもある。
フロントにエンジンがないRRの3代目トゥインゴは、軽快かつ小回りが予想以上に利いていた。
そのあたりにそれほど変わりはないだろうが、今回のマイナーチェンジで質をどこまで高めているかが焦点となる。
前置きが長くなったが、マイナーチェンジ後の3代目トゥインゴの試乗を始めることにする。

▲今回のマイナーチェンジ後のトゥインゴはEDCのモノグレード構成。新色の「ジョン マンゴー」を加えて、5色を展開する
驚きのコストパフォーマンス
このトゥインゴは0.9リッター3気筒にターボを搭載している。出力は92馬力、最大トルクは135N・m/rpmで1.5リッター車並みだ。
1トンそこそこのボディであるので、街中をスイスイと機敏に走る仕様であると言える。
それに加えAセグメントに分類される小型でありながら、ツインクラッチ仕様のトランスミッションを採用しているのもすごい。
内外装の質感も先代のトゥインゴと比べると高まっており、リアゲートやテールランプにもコストをかけ、利よりブランドを高める戦略が垣間見える。
顔つきはというと、さらにシンプルとなった。小型車はやはり、小細工が多いデザインよりもプレーンな方が理にかなっていると思わせる。
適度な隙も温かみも感じさせ、どことなく初代のエッセンスが入ったような印象だ。
ドアの閉まりもよく、国産車はかなわないかもと感じるほど塗装のクオリティも高い。
最近では珍しくなったカッティングシールによる雰囲気作りも、トゥインゴのボディデザインの間延び差をうまいこと排除している。
カフェレーサーをほうふつさせるような俊敏さとかわいらしさを両立させるデザインだ。

▲サイドストライプはポップなドット柄

▲サイドプロテクターはブラック一色。「トゥインゴ」のイラストが描かれている

▲ワンアクションでリアゲートが開閉可能
実際にエンジンを始動してみると、スムーズで抵抗が少ない3気筒である事がわかる。
ツインクラッチによるトランスミッションにより、連続的なシフトスケジュールを感じることができる。
これにより、ターボラグも相まってエンジンのスムーズさを一層際立たせる。
速度を遅めても、すばやくエンジンのパワーバンド近くのレシオを選択して、レスポンスの俊敏さも味わうことができた。
小回りも予想以上で、何気なくUターンするとびっくりしてしまう。
また、乗り心地も以前よりさらに滑らかになり角が取れた印象で、静粛性も案外高い。
サスペンションに関しても、ルノー伝統の柔らかいセッティングを感じる。
石畳に代表されるフランスのでこぼこ路面でも、衝撃を感じさせないようにしているのだ。
今回のマイナーチェンジで、それをより一層感じさせてくれる。
また、カーブ時でも地に足をつけたような感覚で、雨の日でも安心感があるスタビリティの高さだ。
このパッケージングで価格は200万円を切っているというのが、非常に驚きだ。
嫌みのない顔つきと優しい乗り心地、角のないインテリア。
すべてはフランス語の鼻母音にある、柔らかい響きのような装いだ。
小さくとも満足度の高い乗り心地を、このトゥインゴは提供してくれるのであった。

▲自然な姿勢で腰掛けられ、車のサイズが感覚で分かる高めのアイポイントを提供

▲フロントシートはヘッドレスト一体型

▲内装色はブランとライトグレーのツートンのみとなる 文/松本英雄、写真/篠原晃一
【試乗車 諸元・スペック表】
●トゥインゴ EDC
型式
3BA-AHH4B
最小回転半径
4.3m
駆動方式
RR
全長×全幅×全高
3.65m×1.65m×1.55m
ドア数
5
ホイールベース
2.49m
ミッション
6AT
前トレッド/後トレッド
1.46m/1.45m
AI-SHIFT
-
室内(全長×全幅×全高)
-m×-m×-m
4WS
-
車両重量
1020kg
シート列数
2
最大積載量
-kg
乗車定員
4名
車両総重量
-kg
ミッション位置
フロア
最低地上高
-m
マニュアルモード
◯
標準色
ブルードラジェ、ブランクリスタル、ジョンマンゴー、ヴェールピスタッシュ
オプション色ルージュフラムM
掲載コメント-
エンジン型式 H4B 環境対策エンジン - 種類 直列3気筒DOHC 使用燃料 ハイオク 過給器 ターボ 燃料タンク容量 35リットル 可変気筒装置 - 燃費(10.15モード) -km/L 総排気量 897cc 燃費(WLTCモード) 16.8km/L└市街地:12.2km/L
└郊外:17.6km/L
└高速:19.5km/L 燃費基準達成 - 最高出力 92ps 最大トルク/回転数
n・m(kg・m)/rpm 135(13.8)/2500 型式 3BA-AHH4B 駆動方式 RR ドア数 5 ミッション 6AT AI-SHIFT - 4WS - 標準色 ブルードラジェ、ブランクリスタル、ジョンマンゴー、ヴェールピスタッシュ オプション色 ルージュフラムM シート列数 2 乗車定員 4名 ミッション
位置 フロア マニュアル
モード ◯ 最小回転半径 4.3m 全長×全幅×
全高 3.65m×1.65m×1.55m ホイール
ベース 2.49m 前トレッド/
後トレッド 1.46m/1.45m 室内(全長×全幅×全高) -m×-m×-m 車両重量 1020kg 最大積載量 -kg 車両総重量 -kg 最低地上高 -m 掲載用コメント - エンジン型式 H4B 種類 直列3気筒DOHC 過給器 ターボ 可変気筒装置 - 総排気量 897cc 最高出力 92ps 最大トルク/
回転数n・m(kg・m)/rpm 135(13.8)/2500 環境対策エンジン - 使用燃料 ハイオク 燃料タンク容量 35リットル 燃費(10.15モード) -km/L 燃費(WLTCモード) 16.8km/L
└市街地:12.2km/L
└郊外: 17.6km/L
└高速: 19.5km/L 燃費基準達成 -

自動車テクノロジーライター
松本英雄
自動車テクノロジーライター。かつて自動車メーカー系のワークスチームで、競技車両の開発・製作に携わっていたことから技術分野に造詣が深く、現在も多くの新型車に試乗する。車に乗り込むと即座に車両のすべてを察知。その鋭い視点から、試乗会ではメーカー陣に多く意見を求められている。数々のメディアに寄稿する他、工業高校の自動車科で教鞭を執る。『車は50万円以下で買いなさい』など著書も多数。趣味は乗馬。
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【関連リンク】
ルノー トゥインゴ EDC(3代目・現行型・2019年8月マイナーチェンジモデル)のカタログはこちら ルノー トゥインゴ(3代目・現行型・2019年8月マイナーチェンジモデル)の中古車はこちら(※掲載がない可能性もございます)
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