クルマニュース
【試乗by西川淳】ランボルギーニLP640は誰もが運転できるスーパーカー
(2008/10/24)
どこまでも非日常をもたらしてくれるスペシャルな存在
スーパーカーブーム時代の雄、ランボルギーニカウンタックの子孫であり、理想型とも言えるのがこのムルシエラゴLP640。V型12気筒エンジンをドライバーのすぐ後ろに置き、それはボディサイズのほぼ半分を占めるほどの巨大さ。LPは、カウンタック時代に使っていた呼称で、エンジン縦置きミッドシップを意味している。数字は排気量ではなく、パワーを表している。
パッケージングの基本コンセプトは、スイングタイプドアとともに、カウンタックのそれとほぼ同じと考えていい。その莫大なパワーを確実に路面へと伝えるため、ディアブロ以来のVT(4WD)システムを搭載するが、これも実はカウンタック時代に開発エンジニアが“理想”として掲げていたものだった。スタイリングは基本的にディアブロを進化させたパッケージだから、基本的なシルエットはそのモダン版。ムルシエラゴそのものは、アウディ傘下となって初のランボルギーニだが、LP640へのマイナーチェンジによって外装のディテールが一層アグレッシブになり、猛牛ブランドのフラッグシップにふさわしいオーラを放つに至った。ロードスターモデルの用意もある。
巨大なV12気筒を縦置きにするというメカニズムパッケージありき、の車ゆえ、居住スペースも、決して狭くはないが最小限で、装備類もそれほど凝ってはいない。コックピット回りにしても、デザインやマテリアルはともかく、装備や機能に関しては走りに必要なものだけを選んで備えたという印象が強い。結局のところ、ムルシエラゴの魅力はと言えば、実にランボルギーニらしいスタイリングと、伝統のV12エンジンの放つ爆発的なパワーの2つということなのだろう。
もちろん、いかにランボルギーニといえども、いつまでも硬派なスーパーカーではいられない。ご多分に漏れず、2ペダルセミATのeギアシステムもオプションで選ぶことができる。カウンタックやディアブロほどでないにせよ、それなりに独特な乗り味をもつ車だから、マニュアルギアシフトをしないことで一つの操作から解放されることの意味はかなり大きい。ずばり、誰だって運転できる12発のランボである。オーバー3,000万円級の超高級スポーツカーゆえ、内外装の仕立てに関しては、かなりの自由が利く。高級ラグジュアリィブランドと同様に、カラーコーディネイトのフルオーダーも可能。特に内装に関しては、そのマテリアルから豊富な選択肢が用意されている。
2ペダルを選べば、動かすことそのものはラク。4WDとeギアの組み合わせの場合、微速域での取り回しに若干のぎこちなさが出るが、走り出してしまえば苦労はない。それよりも、独特の視界と車両感覚に慣れが必要だろう。“速さ”に関しては、文句ナシ。しかも、ムルシエラゴでなければ味わえない世界がプラスされている。地面を這うようなドラポジ、それと速さゆえ路面に潜り込むかのような加速フィール、背中で奏でられる重厚でメカニカルなエンジンフィール、そして周囲の視線。安楽なスポーツカーが増えてきた今、2ペダルが選べるようになったとはいえ、まだまだ硬派なスーパーカーとして天下無比の存在だ。
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